明るい地上と美しいまち
水戸芸に初めて行った。
内藤礼「明るい地上には あなたの姿が見える」とダリオモレッティさん野村誠さんやぶくみこさんのテアトロ・ムジーク・インプロヴィーゾによる「美しいまち」を見に。
遠い遠い水戸、東京駅からバスで2時間。帰りは事故渋滞で3時間半。でも行ってよかった。
はじめに内藤礼を見た。
産まれる前や死んだ後はこんな世界かもしれない、と思った。
内藤さんの生へのささやかだけどたしかな祝福を感じた。
好きだったのは、合わせ鏡のシリーズ「世界のひみつをうつしかえす」という作品。
小さな小さな鏡が空間のなかで向かいあっている。内藤さんの言葉は美しいなぁ。
あとは薄っぺらい丸く切られた紙に小さな小さな小さな字で「おいで」と書かれている作品「恩寵」。
産まれること、死ぬこと、すべて導かれているということに安堵する。
内藤さんの作品にあるのは、安堵の感覚。
豊島美術館はいままでの芸術体験の中でも、特別に大切な体験だった。
今回の展示は正直、美術館という建物の制約を感じた。
繊細な内藤さんの作品の前では、美術館の建物のもつ白さと白いはずだけど経年しているその質感が無いことにされていることが気になった。
そのあと、少し休んで「美しいまち」を鑑賞。
コーディネーターであり、ダリオさんのパートナーである並河さんの投稿で、ずっと気になってたダリオさんの子供向け演劇。
今回は、以前城崎アートセンターで滞在制作した、野村誠さん、やぶくみこさんと4人で組んでいるテアトロ・ムジーク・インプローゾの作品。
はじまって最初のシーン、野村さんのピアノとダリオさんの絵と一緒に動く人形たちを見てたら、美しさに胸が熱くなって涙がこぼれた。
こういうのが好きだぁ。と思って。
最近野村さんのピアノ音源を家で聞いてることが多かったので、それがすばらしい音響のもと生で聞けたのも嬉しかった。
音楽ホールの中央にダリオさん、下手のグランドピアノに野村さん、上手にガムランやパーカッションと一緒にやぶさん。
ダリオさんは、板で作られた机の上で、絵の具と紙と筆、そして紙に描かれた人形を操る。それをカメラで撮ってスクリーンに写す。
絵と一緒に音楽が進行していく。
青になって、水で滲んで薄くなって、黄色や赤の点々が現れて、、そこに車が走ったり、人形が踊ったりする。
ダリオさんは、絵描きであり、俳優であり、演出家である。
いったりきたりする表現はとても楽しくイタリアの明るい太陽を思い浮かべた。
マントヴァという小さな町で劇団を主宰し、児童演劇のフェスティバルも手がけている。
この人のことをもっと知りたい!と思った。
終演後、マントヴァにいきたい、とダリオさんに伝えたらおいで!と言って、演劇の中で描いた素敵な絵をくれた。
いつか必ずいきたい。
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