個の場と公の場

静岡のとある保育園の園長先生から、保育園で芸術教育を取り入れたいとのご相談のご連絡をいただく。

レッジョエミリアのような芸術士の設置や、高知のアーキペラゴのような芸術士派遣のシステムを市として取り組みたい、まずはうちの保育園で何かできないか、でもどこから始めていいか・・・と悩んでいるときに、私のwebサイトを見つけてくださり、芸術だけ、保育・教育だけの取り組みはいろいろあっても両方をやっている人がなかなかいなくて、思わず連絡をくださったそう。

さらに、保育園の方針が「おや、と思い、はてな、と考える子」、感動や発見、あっと驚くことを大切にしていて、驚きの学校の活動を見てぴったりだと思ってくださったとのこと。

こういう相談はとても嬉しい。

妊娠中であること、引越しの可能性があることをお伝えした上で、できることはないかヒアリングをさせてもらった。


園長先生の考える芸術士派遣の方向性は、共感するところがが多く、一緒にやっていけたらいいなぁと思った。

外部講師を呼ぶことはあっても、その活動の楽しさだけで終わって日常につながらないことが残念、という話や、忙しい保育士たちにも興味をもってもらう仕組みづくりの話など。

実際に私が深く関わるのは現実問題難しそうだから人を紹介することになるだろうけれども。


この秋は、熱海の小学校への芸術家派遣も2校で3回やることができた。

先日の砂連尾理さんと行った障害のある人のワークショップでも、久しぶりに施設の方とも接する機会があった。

こうした教育・福祉の公の場に外から入っていく仕事は、気づきや課題も多くておもしろく、やっぱり続けていきたいなと思う。

驚きの学校のお教室やイベントなど、この場を選んで来てくれている人ではない人に出会えるチャンス。驚きがいっぱい。

さらに現場で働いている先生や施設の方とのやりとりや働きかけは、一筋縄にはいかないけれども、だからこそとても大切なこと。


砂連尾さんと「驚きの学校のようなオルタナティブな場を作っちゃうのはある意味簡単だけど、個々でやっていくには限界がある。か弱い。社会に対して本当にインパクトをもたらすにはどういう動きをしていくのか、本当なら普通の学校で驚きの学校のようなことができたらいいんだよね」というような話をして、その通りだと思った。

ただ、コーディネーターとしての外部からの短期間の関わりだけでは見えなかったことが、自分で場を作って責任を負いながら継続していくなかで見えたりもする。

エシカファームで福祉施設職員として働いた経験もしかり。

プライベートな個の場と公の場、両方をバランスよく取り組んでいくのがいいんだと思う。

そしてその場で起きていることを、社会に提示していくこと。

今後やっていくべき活動の方向性が見えて来る。つまりは今までやってきたことの延長なのだけれども、輪郭がはっきりしてきた。

と同時に、私のように個人ベースで細々とやっている活動は、風が吹けば消えてしまう、ろうそくの火のようなものだな、とも思う。だいぶか弱い。

このちいさな火をどうやって守っていくのか。

灯台のように遠くまで照らせるような光になりたいのか、まわりの人を暖かくする焚き火のような火でありたいのか・・・。


今日お会いしたとてもすてきな園長先生はもともと熱心な小学校の先生だったけれども出産のタイミングで他の事情も重なり、退職したそう。でも、子育てに集中していたこの10年間は変えがたいすばらしいものだったと言っていた。


私も子育てという未知の領域に入るし、もしかしたら子育てでいっぱいの10年間がやってくるのかもしれない。

いくら計画して悩んでもその通りには全くいかないなと思う。

思うままに続けていけば、必然性に導かれていくのだと信じたいなぁ。

↑写真はあんまり関係ないけど、2015年に美術家の水内貴英さんと通った大分県の福祉施設の方の絵。最近大分の障害のある人の展覧会に出ていたらしい。このさつきちゃんというキャラ、水内さんと施設のみんなで作ったキャラクター!思わぬ再会にとても嬉しくなった。こうやって続いていく縁を感じるのはとても嬉しい。


↓ちなみに、大分が誇るキュートな国体キャラめじろんへのオマージュだと思われる。

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